カラーマネージメント基礎 (モニター編)

クリエイターにとって、モニターは作品の良し悪しを判断するが重要な機材になります。
また、インクジェットプリンタでのプリント出力が伴う場合、モニターと出力プリントの色マッチングを含めたカラーマネージメントが出来ていないと、数多くの用紙をムダにすることにもなりかねません。

では、カラーマネージメント用のモニターとはどういうもので、どれを選べばいいのか?本まとめを参考にして頂ければ幸いです。

カラーマネージメント基礎(モニター編)

カラーマネージメント関連まとめ

カラーマネージメント基礎(照明編)
・カラーマネージメント基礎(モニター編) <-- 今ここ
カラーマネージメント基礎(プロファイル編)
 

モニター選びのポイント

通常モニターの選択と言えば、画面のサイズ、液晶の表面(グレア,ノングレア)、パネルの種類(IPS,TN)、スピーカー付き無し、などなど考慮するポイントは非常に多岐に渡ります。

しかしながら、カラーマネージメントを実施する場合であれば、モニターを選定するポイントというのは以下2点が重要になってきます。
この2点の理解を深めておけば、コストに併せてダウングレード版のモニターを選択する場合においても、妥協点を見出しやすくなると思います。

1.キャリブレーションをどうするか?
2.モニターの再現色域(sRGB or Adobe RGB)

一つずつ順に説明していきます。
 

1 : キャリブレーションをどうするのか?

モニターの色を常時均一に保つため、キャリブレーションを行います。
モニター種類やキャリブレーションの方式によって、精度やコストが変わってきます。

キャリブレーションとは?
そもそも『キャリブレーション(Calibration)』とは、日本語に直訳すると、『狂いを正す、校正』という意味になり、ここではモニターが経年劣化で色変化(狙い通りの色が出力できない)が起こした場合、狂いを元の色に直す作業のことを言います。

モニターの種類
ざっくりとした話になりますが、モニターは2種類に分ける事ができます。
・ハードウェアキャリブレーション対応モニター
・上記以外の一般モニター

ハードウェアキャリブレーション対応モニターとは
カラーマネージメントモニターとも呼ばれ、モニター付随(もしくは別売り)の専用キャリブレーションツール(センサーとソフトウェア)を用い、ディスプレイ自らが、ユーザーが設定した値に自動的にキャリブレートしていくハードウェア・キャリブレーション方式に対応した特別なモニターになります。

一般モニターの場合
では、一般モニターをキャリブレーションする事は出来ないのか?というとそういう訳ではありません。
ハードウェアキャリブレーション対応モニター付随(もしくは別売り)の専用キャリブレーションツール(センサーとソフトウェア)を用いた『ハードウェアキャリブレーション』は行えませんが、X-rite社のi1 Displayなどの市販キャリブレーションツール(センサーとソフトウェア)を用いた『ソフトキャリブレーション』は行うことができます。

誤解しやすいポイント
よくキャリブレーションツール(センサーとソフトウェア)をつかったキャリブレーションを『ハードウェアキャリブレーション』、センサーを使用せずソフトのみで実施するキャリブレーションが『ソフトキャリブレーション』と間違って理解されていることがありますが、『ハードウェアキャリブレーション』、『ソフトウェアキャリブレーション』両者共に、市販もしくは付随(もしくは別売り)の専用キャリブレーションツール(センサーとソフトウェア)を使用する必要があります。

 

ハードウェアキャリブレーションとソフトウェアキャリブレーションの違い

おおまかなイメージとしては、PC内グラフィックボードを制御し色調をコントロールするのが『ソフトウェアキャリブレーション』、モニターの中を直接制御しコントロールするのが『ハードウェアキャリブレーション』になります。

両者の細かい違いは以下。

ハードウェアキャリブレーション ソフトウェアキャリブレーション
対応モニターが必要 どんなモニターでも可能
階調を正確に表示する 諧調が乏しくなる可能性がある
自動処理で精度が一定 手作業設定で精度にバラツキ
センサーは外付け、内蔵タイプの2種ある センサーは外付けタイプのみ
内蔵タイプでは定期自動化に対応 外付けタイプでは定期自動化は不可

 

ハードウェアキャリブレーション対応モニターの製造メーカー

一昔前は、ハードウェアキャリブレーション対応モニターといえば、国産モニターが幅をきかせていましたが、最近では海外メーカーのモニターも目立つようになってきました。キャリブレーションツールの内、専用ソフトは必ず同梱されていますが、センサーは専用センサーが同梱されているケースもあれば、市販のものを別途購入しなければいけないケースもあり、購入の際に確認が必要です。

  ハードウェアキャリブレーション対応モニターメーカー

メーカー モデル キャリブレーションソフト
EIZO ColorEdge Color Navigator
NEC MultiSync for Professional SpectraViewⅡ
LG 31MU97-B True Color PRO
BENQ PG2401PT Palette Master

 

簡易ハードウェアキャリブレーション

上記によくキャリブレーションツール(センサーとソフトウェア)をつかったキャリブレーションを『ハードウェアキャリブレーション』、センサーを使用せずソフトのみで実施するキャリブレーションが『ソフトキャリブレーション』とよく間違って理解されているという内容を書きましたが、その『ソフトウェアキャリブレーション』と混同されがちなのが、『簡易ハードウェアキャリブレーション』になります。

これはカラーマネージメントモニターを用い、センサーを使わず、ソフトだけでキャリブレーションを行う作業のことを言います。EIZOとMitsubishiから専用ソフトが出されており、無料でダウンロードできます。一般モニターでも使えるという訳ではないため、あしからず。

  簡易ハードウェアキャリブレーションソフト一覧

メーカー キャリブレーションソフト 適応モニター
EIZO Color Navigator Elements ColorEdge CX,CSシリーズ

 

2 : モニターの再現色域

2つ目のポイントとして、モニターの再現色域がsRGBまでなのか、Adobe RGBもカバーしているのかがポイントとなります。

sRGBとAdobe RGBは扱える色の数は約1677万色と同じではありますが、再現できる色の範囲が異なり、Adobe RGBの方がグリーンとシアンにかけてより鮮やかな色再現が可能となっています。
例えば、0,255,0というグリーンの色の場合、sRGBモニターで表示されるグリーンと、Adobe RGBモニターで表示されるグリーンでは色の鮮やかさが異なります。(下図)
当然価格もAdobe RGBまで再現できるモニターの方が一段お高く設定されています。

sRGBとAdobe RGB色域の違い
colorspace2

sRGBとAdobe RGB色域、どちらのモニターにするか?
最後にプリント出力まで伴う作品作りにおける場合、単に色域の広さでモニターを選択するというのではなく、自身の撮影→エディット→プリントのワークフローにおける基準プロファイルをどちらに設定するか?という観点が重要になってきます。
Adobe RGBモニターを導入するのであれば、下2点はクリアーにしておいた方が良いでしょう。

 ◇ Adobe RGBを用いたカメラ、プリンタの設定方法まで含めた運用をきちんと理解している。
 ◇ sRGB画像から出力されたプリントより、Adobe RGB画像から出力されたプリントに色差や魅力を感じる。

Adobe RGBの運用は少々煩雑な面もあるため、個人的には、1台目のモニターはsRGBを基準プロファイルとしたワークフローのパイプラインをきちんと確立させる事ができるようになってから、2台目の購入でAdobe RGBモニターで応用を効かせていくというようなステップで十分ではないかと思います。

 

<<まとめ一覧に戻る

カラーマネージメント基礎(プロファイル編)>>

  • このエントリーをはてなブックマークに追加