アート・フォトギャラリーを歩く(上海編)Vol.2

前回Vol.1の続きとして、Vol.2では上海で出会った写真関連の『プロダクト』を見ていきます。

ここではプロダクトとは、『売買される商品やサービス』と定義します。
写真関連に限らず、海外の街を歩く楽しみの一つは珠玉混在のプロダクトに出会えることです。
これは日本でもイケるんじゃない?というものから、さすが〇〇!という風な(〇〇には国名が入る)いわく付きのものまで様々です。

今回、筆者の印象に残った3つの写真関連のプロダクトを紹介したいと思います。

ギャラリー散歩(上海編)2

メモ関連まとめ

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大判プリンタ、プリントサイズのメモ(屋内用)
 

今回紹介する3つの写真関連プロダクト

今回の記事は多分に主観、未確認の情報も含んだ内容となるため、まとめというよりは、ブログ的な受けとり方をして頂ければ幸いです。

紹介するのは、
1. 写真家運営ギャラリーでのプロダクト
2. M97ギャラリーで出会ったプリント・額装
3. M50や田子坊らのアートスペース⇔上海カフェ・ホテル間のインテリアアートの流通
上記になります。

一つずつ詳述していきます。

1. 写真家運営ギャラリーでのプロダクト

先のVol.1でも少し触れましたが、田子坊には、写真家が自身で撮影した写真を写真プロダクトに加工して販売する形態のギャラリーがあります。
当初、写真家が運営?、撮影した写真をプロダクトにして販売?、それで成り立つの?という風に頭の中が?(はてな)で一杯になりましたが、よくよく見てみるとよく作り上げられていると感じました。

shop

メインの顧客は観光客で、プロダクトはお土産用途
田子坊という上海屈指の中国国内・海外観光客が多く訪れる立地にあるため、プロダクトに使われている写真は、訪れる観光客向けに上海や中国感満載のキャッチーなものを選んでいるように思います。

仮に、日本でこのようなギャラリーが成立する可能性があるとすれば、国内・海外の観光客が多く訪れる東京、京都、大阪ぐらいなものではないでしょうか。

 
写真プロダクトの種類が豊富でレベルが高い、製造の内製・外注をうまく使い分けている
この事がこのギャラリーを支えているポイントと感じました。
内製が過ぎれば、プロダクトのクオリティの低下を招く恐れがありますし、外注が過ぎればコストが高くなりすぎる、、両立させ豊富なプロダクトを取り扱うことで成立しているのではないでしょうか。

具体的なプロダクトとしては、
➀大小様々な写真パネル、➁ポストカード、➂ブックマットと写真、➃i-Phoneケース、➄マグカップ、➅額装された写真、➆マグネット、➇ノート(表紙が写真)などを確認することができました。

この中で特に印象に残ったのは、
➀写真パネル
ベースとなるパネルはアルミ複合板、プリントは幅広インクジェット機での出力、表面はサテン調のコールドラミで保護されています。これを外注ではなく内製で対応しています。
参考までに、14cmx40cm横長サイズの上海外灘全景写真のパネルを買ってみましたが、価格交渉して、始まり値300元(約5700円 1元=19円@2015年3月時点)から、200元(約3800円)まで下がりました。

M97-1jpg

この値段の安さには少々ビックリしました。日本であれば、同じサイズのアルミ複合板を購入するだけでもそれぐらいの金額が掛かるような気がします。
それを写真プリント、コールドラミ、店の運営費、製造する手間費を加えて、更に利益まで乗せた顧客に販売する価格である訳ですから、本当にその価格で大丈夫なのか!?こちらが心配してしまいます。

反りが発生しないアルミ複合板の堅牢な作りになっており、中々お値打ち感があります。本記事を見られている方で参考までに直にパネルを見てみたいという方があれば、『お問い合せ』からご連絡下さい。

日本でも類似のプロダクトで、コールドラミではなく、アクリルマウント加工したパネルが存在しますが、幾分価格が高くなりがちなので、このような廉価版のコールドラミのパネルも今後オプションとして出てくるかもしれませんね。

次に、➁ポストカードです。
数多くのポストカードが棚一面に並べられているのが印象的でした。
作成はファクトリープリント(工場印刷)だと言っていたので、外注のオフセットによるものでしょう。

   下写真左がポストカードが置かれていた棚、右が➂ブックマットや➆額装された写真が置かれた棚
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値段は1枚5元(約95円)でした。驚きはこのバラエティ、、中国のオフセット印刷事情はわかりませんが、最低ロットの単位枚数が少なく値段も安いのでしょうか。通常、これだけの種類を揃えるとなると相当な投資になるのではと思ってしまいます。しかし今回は買う側の立場だったので、色々種類があって選ぶのを楽しめました。

最後に、➂i-Phoneケース
これまであまり気に留めていませんでしたが、写真やイラストのデジタルイメージと相性が良いプロダクトではないかと急に思い始めてきました。
店舗でも扱われており、写真の転写も結構綺麗に仕上がってました。
最近は写真に限らずとも、イラストなどをケースにして販売しているサイトもよく見かけます。
参考サイト:http://www.hurunia.com

こういう店舗で内製するための、機器、ケース、吸着させるメディアもそこまで高いものではなかったという記憶がありますので、また、当社でも一連の機器・メディア・ケースを扱っていくのも良いのかなと感じました。

 
一般的に写真関連のプロダクトというと、作りがチャチく見えてしまうものが多い中で、これらギャラリーで扱われているプロダクトはよく選別され、鍛え上げられているという印象を持ちました。
ともあれ、自身で撮影された写真を様々なプロダクトに加工して売っていくというチャレンジングな試み。応援したいと思いました。

 

2. M97ギャラリーで出会ったプリント・額装

中国を代表するフォトギャラリーであるM97ギャラリー。ワシントンに本部を置く写真を商業的に扱い売買をするギャラリー協会AIPAD(The Association of International Photography Art Dealers)のメンバーでもあります。

訪問した当時、阿斗氏の作品展の期間中でしたが、その時展示されていたプリントと額装がこれまで見たことがないもので驚きました。ちょっとにわかに信じ難いぐらいで、、

プリント
展示されていたのは大小2サイズ、小さい方が46x33cm、大きい方が132x95cm。
ラベルには『手工銀塩(手焼き銀塩)』の記載。ここでもう意味不明です、、、、

M97-2

この大サイズを手焼き銀塩(シルバーゼラチン)プリントだと!?、、
補足すると、銀塩プリントというのは、個人で様々な基材に薬品を手塗りして作成できるプラチナプリント等の古典印画と違い、フジフィルムやコダックといった銀塩用紙メーカーが長年の投資と研究の末に辿り着いたメディアであり、メーカーからの供給がなければ成り立たちません。
しかしながら、このデジタル化以降、プリント処理量が下がり、インクジェットプリントも高画質・高精細化した時代に、わざわざメーカーが手間の掛かる銀塩カットシートをこのような大サイズで供給することはありえないでしょう。

ただ一つ入手できる可能性があるとすれば、機械焼きの幅広銀塩機クロミララムダ用に使用されている幅広銀塩ロールを入手し、暗室でカッティングを行い、そのまま手焼き銀塩用のカットシートとしてプリントに使用しているということなのでしょうか。
あと、カットできたとしてもプリントを焼く必要があります。その機器はどうなっているのか?
とまあ疑問は消えないわけです。

額装
また、使用されている額装も良かったです。
大きい方、小さい方共に綺麗に額装してあるのですが、取り上げるべきは小さい方でしょう。
下写真にあるように、奥が狭くなっており、また、4角に繋ぎ目がありません。こんなの見たことありません。

M97-3

さすが一流ギャラリーともなれば、扱っているプリントも額装も簡単には理解できないものを扱っております。まだまだ世の中には分からないものが沢山あるということなんでしょう。
ますますパリフォトやAIPADのようなフェアに出向き、業界やプロダクトを直に見てみたいという思いが強くなりました。

 

3. 莫干山路や田子坊らのアートスペース⇔上海カフェ・ホテル間のインテリアアートの流通

アートスペースで販売されていたアート作品が上海のホテルや街中のカフェにインテリアとして飾られているのを見受けられました。

どちらもキャンバス作品ですが、一見するとどちらも完全にアナログで製作された一点物に見えます。
しかし、アートスペースで同一のサイズ違いの作品が販売されていたところを見ると、デジタル素材とアナログ素材を組み合わせて製作されたミックスドメディアでのインテリアアートになるのではと思います。

浦東ホリデイイン
上海浦東地区のホリデイインのロビーにて巨大サイズのキャンバス作品が5点ほどインテリアとして良い感じに溶け込んでました。
holidayinn

カフェWagas
朝食を食べにふらっと立ち寄ったカフェWagasでも壁一面にキャンバス作品が。
caffe

クリエイターは創作物を作り、莫干山路や田子坊らのアートスペースで発表し、売り込む機会を待つ、一方顧客であるホテルのインテリア担当やカフェのオーナーがアートスペースに出向き、ホテルやカフェに適した作品を買い付ける。アートスペース⇔クライアント間の良い循環サイクルがなされていると感じました。
 
今回、2回にわたりアート、フォトギャラリーを歩く(上海編)という内容で書いてきましたが、またその他の国の状況も機会があればまとめていきたいと思います。長文になりましたが、お読み頂き有難うございました。
 

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