キャンバスコート、水性UVカットクリアについて

キャンバスプリントは印刷面を前面に押し出したインパクトがある表現ができる反面、展示や移動などの際、印刷面を触れて汚したりしてしまう状況も起こりやすく、表面の保護をどうするかが一つの課題としてあります。
自分用の作品や短期間の一時的な展示であれば、特に表面保護せずとも問題ありませんが、屋外展示であったり、顧客に作品、商品として提供する場合においては、表面保護も検討しておく必要がでてきます。

その際、インクジェットでプリントしたキャンバスに相性良く手軽に堅牢な表面保護ができるのが、当サイトでも取り扱っているキャンバスコート水性UVカットクリアになります。

両製品とも、基本的な成分、効果は同じでありますが、両者の特徴からどちらを選択するのがベストかという視点で本記事まとめていますので、選択の際の参考にしてみてください。

キャンバスコート、水性UVカットクリア

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そもそもキャンバスコート、水性UVカットクリアとは?

主成分はアクリル樹脂
キャンバスコート、水性UVカットクリア共に主成分にはアクリル樹脂となっています。
Wikipediaによれば、『アクリル樹脂とは、アクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルの重合体で、透明性の高い非晶質の合成樹脂である』、、と少々難しい内容でありますが、私達の写真・アートの世界にも非常に馴染みの深い素材でもあります。

例えば、作品の額装において、ガラスかアクリルどちらにしようか悩まれた経験をお持ちの方も多いと思います。
アクリルの高い透明性、割れて飛び散らないという利点などからガラスより高価な額装素材になっています。
その他にも、アクリル樹脂で作られたアクリル絵具などもありますし、また、大きいところでいけば、沖縄美ら海水族館の厚さ何十cmもある水槽もアクリル樹脂製の巨大パネルになります。
アクリルパネル

つまり、キャンバスコート、水性UVカットクリアを塗布するということは、塗布する基材上に薄く透明なアクリル膜を形成することにより、水、光、傷といった刺激に対しての耐久性を上げるということです。

また、その効果とは?
下図は水性UVカットクリアの効果計測のメーカー資料になり、塗布した場合としなかった場合では格段に耐候性に差があることがわかります。
コート効果
*図で使用されている促進耐候性試験や色差といった用語の詳しい意味を知りたい方は、ターナー色彩社の商品サイトに詳しく記載されています。

図や数字だけ見ても、ふーん、そうなんだ、、ぐらいにしか思わないかもしれませんが、実はこれは結構凄いことなんです。
左側の水性顔料インクの印刷物に塗布したケースと 右側の溶剤インクで塗布しなかったケースを比べた場合には、ほぼ同じ耐候性(経過2500時間において両者とも色差約4)があることを示しています。
これでは水性UVカットクリアと水性インクプリンタあれば、溶剤インクプリンタ必要ないんじゃない?となってしまいます。
溶剤インクジェットプリンタといえば、広告、サイネージなどの野外専門で使われるエプソンSCシリーズやムトウ、ミマキのプリンタが有名ですが、機器価格は、水性インクプリンタに比べてかなり高価になります。

さすがに完全な代替えはできないでしょうが、広告・サイネージ印刷業者で普段使用している溶剤インクプリンタが一時故障した場合などの急遽の代替えとして水性インクプリンタの印刷物に塗布し急場を凌いたり、簡易的に水性インクプリンタしか持っていない業者でも、水性インク印刷物に塗布することで屋外でも十分に堅牢なプリントを作成することができる可能性を示しています。

両製品の比較

比較は以下になります。
記載の塗布面積はメーカー資料から、価格は当サイトで取り扱っている金額になります。

キャンバスコート 水性UVカットクリア
容  量: 2.5リットル 1リットル
容  器: 樹脂容器
塗布面積: 40㎡ 9~13㎡
面  質: 2種類(光沢、無光沢) 3種類(光沢、半光沢、無光沢)
価  格: 5980円(税込) 3300円(税込)

初めての方にも安心なのは、『水性UVカットクリア』

水性UVカットクリアがおススメな方は、、
・初めて塗布を行う方
・塗布面積がそれほど大きくない方
・毎日使わない方
・色々な面質を楽しみたい方
・ローラーではなく、刷毛を使って塗布する方

1ℓという手頃な容量である事に加え、トレイなどに樹脂容器から使用に併せて小出ししやすい設計となっているため非常に扱い易くなっています。
また、面質も光沢、半光沢、無光沢の3タイプと豊富であり、マットキャンバス1種を在庫し、お好みの面質に変換+コーティングする運用も可能です。

筆者個人の使用感で言えば、アクリルの粒子が細かいのか、キャンバスコートに比べ、形成できるアクリル膜が薄く刷毛を使用して塗布した場合にも白濁しにくいように感じます。
メーカーの取扱説明にも、ローラー、スプレーガン以外にも、刷毛が利用できると記載しています。

また参考までに、1容器当たり9~13㎡というのは、A3用紙換算にて72枚~104枚塗布できる計算になります。

大量に塗布が必要な場合は、『キャンバスコート』

キャンバスコートがおススメな方は、
・業者で大量に塗布が必要な方
・毎日塗布をする方
・塗布する面積が大きい方
・コストパフォーマンスを追及したい方

2.5ℓ/1缶で非常に多くの印刷物に塗布する事が可能であり、1缶当たり40㎡というのは、A3用紙換算にて320枚塗布できる計算になります。

水性UVカットクリア、キャンバスコートの実際の使い方に関しては、こちらの記事にまとめていますので、チェックにしてみて下さい。
水性UVカットクリアを使っての記事ではありませんが、使用方法、塗布後の効果は同じになので参考にできると思います。

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